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リンパ浮腫によって引き起こされる合併症とは

リンパ浮腫によって引き起こされる合併症とは

リンパ浮腫を単なるむくみと軽視していると症状が進行し、さまざまな合併症を引き起こすこともあるので十分な注意が必要です。
初期段階において虫に刺されたような違和感だけだったむくみは、やがて硬く白く変色します。
白化し角質化した皮膚はひび割れることもある象皮症(ぞうひしょう)と呼ばれるリンパ浮腫の代表的な合併症のひとつです。
また、リンパ液が皮膚から外部へ漏れ出てしまうリンパ漏(ろう)、体内に袋状に溜まるリンパ膿胞(のうほう)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)などリンパ浮腫の合併症は決して侮ることのできないものばかりです。

 

象皮症(ぞうひしょう)

〇象皮症とは
皮膚や皮下組織が増殖し硬くなることによって象の皮膚のようになることから命名された症状です。
主としてフィラリア感染による後遺症としての発症が確認されてきました。
現代日本においてフィラリアは根絶されているため、象皮症の発症はがん治療の副作用としてのリンパ浮腫が主たる要因となっています。
象皮症は症状の進行が目に見えるため早期対策によって進行を食い止めることはそう難しいことではありません。
また、角質化したとしても諦めず、ケラチナミンなどの尿素系軟膏を患部に塗りリンパドレナージを根気よく行うことで、硬い角質がかさぶた化し、新しい皮膚が再生されていくこともあります。

 

リンパ漏(りんぱろう)

〇リンパ漏とは
患部や患部付近にできた傷や毛穴からリンパ液がしみ出してくる症状のことを言います。
数日にわたって漏れ続けることもあり皮膚潰瘍を引き起こすこともあるので十分な注意が必要です。
早期対処が大切ですが、特別な治療が必要と言うわけではありません。
通常の怪我やすり傷などと同様、患部を清潔に保ち圧迫を繰り返すことで症状は沈下します。

 

リンパ嚢胞(りんぱのうほう)

〇リンパ嚢胞とは
リンパ液が体外に漏れ出ることをリンパ漏と呼ぶことに対し、体内で袋状に溜まることをリンパ嚢胞と言います。
嚢胞が周辺の器官を圧迫し炎症を引き起こしたり、静脈を圧迫し静脈血栓症の有力な要因となったりすることもあります。
安易な自己治療は控え、医師の診断のもと適切な治療を行うことが大切です。
治療法としては、中空針を用いて溜まったリンパ液を抜き取る方法が取られることが一般的です。

 

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

〇蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは
リンパ浮腫を放置しておくと、リンパのうっ滞が進行しむくみが広がっていきます。
免疫機能は減退し、わずかな雑菌侵入がまたたく間に拡大し蚊に刺されたような赤い斑点が蜂の巣のように現れることがあります。
この症状を蜂窩織炎(ほうかしきえん)、あるいは蜂巣炎(ほうそうえん)と言います。
黄色ブドウ球菌などの細菌感染による発症が主ですが、リンパ浮腫の合併症としてもっと顕著な例とされています。
手足や顔に発症することが多く、広い範囲にわたって赤く硬く腫れます。
発熱や悪寒を伴うこともあり時間の経過と共に硬化し象皮症へと進展したり、皮膚が破れて膿や壊死した皮膚組織が流れ出たりする皮膚潰瘍の症状が現れたりします。
皮下組織の比較的浅い部分に発症する病気を丹毒と呼ぶこともありますが区別は明確ではありません。

 

蜂窩織炎の治療

蜂窩織炎の症状が見られたら、すぐにリンパドレナージなどの処置を中止しなければなりません。
すでに過剰なまでに皮膚組織が破壊されているのでそれ以上の刺激は危険です。

〇治療方法
①まず大切なことはできるだけ安静に過ごすことです。
患部を挙上し、氷嚢などで冷やすなどの対処が必要です。
医師の診断を仰ぐことはもちろん、処方された薬剤をきちんと飲みきるまで丁寧な治療を続けなければなりません。
完治までに数週間かかり、症状によっては入院を必要とすることもあります。

 

蜂窩織炎に似た病気

蜂窩織炎に極めて似た症状を持つ病気に結節性紅斑(けっせつせいこうはん)壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)があります。
結節性紅斑は主に膝から下にできる紅斑で、比較的狭い範囲に発症します。
また、壊死性筋膜炎は高熱と激しい関節痛や筋肉痛、さらに血圧低下が見られるなどの特徴があります。
いずれも似て非なる病気であり、治療方法も異なるのでしっかりと見極める必要があります。
すみやかに専門医を受診することが大切です。

 

合併症まで進行させないために

合併症は症状の進行によってもたらされる病気であり、一度発症してしまうと再発する可能性が非常に高いと言えます。

〇進行させないための予防策
◆症状初期段階における速やかな対処と、日々の生活の中での予防が大切です。
◆リンパ浮腫の兆候が現れた時点から皮膚の清潔を保ち、保湿クリームなどで乾燥を防ぐなどの対策をとっておく必要があります。
◆爪切りや剃毛など、日常的な習慣に対してもそれまで以上に十分な注意を払わなければなりません。
◆カミソリの使用は避け、電気シェーバーなどを清潔な状態で使用しましょう。
◆虫刺されにも十分な注意が必要です。
◆ガーデニングやキャンプ・アウトドアに出掛ける際には、虫除けスプレーや厚手の服などで保護しておくことをお勧めします。
これらの予防対策を生活習慣として馴染ませていくことが大切です。