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リンパ浮腫セラピストとは何?

2008年に指導管理料が保険適応となり、それにより専門性のある対応が可能な「リンパ浮腫セラピス」という新たな認定資格ができました。もともと、この病気の治療には、看護師や理学療法士などの複数の職種や、また、血管外科や形成外科を初めとする多くの診療科が複数かかわっていたため、もっと複合的な治療や取り組みがしやすい専門職の必要性が早くから問われていました。そして、この資格の創設により医療環境がより良く改善されつつあることは、今まで長期に渡って症状に苦しんでこられた方にとって、何よりも嬉しいことだったと思います。では、この病気の具体的な症状と原因、それに対してセラピストができることや資格取得の条件などについて考えてみましょう。

 

症状とその原因にはどのようなものがあるのか

乳がんや子宮がん、膀胱がんや前立腺がんなどは、時には手術によりリンパ節の切除を余儀なくされる場合があり、それが原因で発症することがあります。また、放射線治療の後遺症からも、さらには、その他のいくつかの疾病からも発症する可能性が考えられています。

具体的には、手足の腫れや重圧感、倦怠感などの症状がありますが、完治は難しいのが現状です。だからといって放置しておくと、症状がさらにひどくなるばかりか、象皮病という病気に進行する怖れもあるので、症状を抑えるための適切な治療とケアはかかせません。日常生活での自己管理を続けながら、同時に治療や専門家によるケアも続けていく必要があるでしょう。

また、この病気は診断名が同じでも、症状が人によって異なる場合が多いです。従って、選ぶべき治療やケアの内容も患者さんにより異なるものになっています。患者さんそれぞれにふさわしいケア方法を指導し、ベストの治療を実践していくには、やはり、この病気に対する正しい知識や対処法をきちんと学んできた専門家の存在がとても重要であるといえるでしょう。

 

仕事の内容はどのようなものなのか

この病気の治療方法は、大きく分けて2つあり、1つは手術による外科治療、もう1つが体への負担が少ない保存的治療になっています。有資格者が行うのは保存的療法の方で、おもに患者さんへの生活指導や複合的理学療法を行います。複合的理学療法とは、リンパドレナージやスキンケア、圧迫療法や運動療法などを複合的に行ってむくみを改善していくという方法です。

まず、リンパドレナージですが、これは、手足に滞ったリンパを効率よく排除するため、正常なリンパ管へのわき道を作るマッサージ方法です。一般的なコリをとる為のマッサージや、エステなど美容目的のものとは全く異なるもので、専門的知識を持つ有資格者がやらなければ効果は期待出来ません。

スキンケアについては、おもに乾燥や角化を防ぐ目的で行われます。むくみのある部分をきちんとケアすることで、細菌感染を防ぐことができます。むくみのある患部はとても炎症を起こしやすく、一度炎症を起こすと浮腫が急激に悪化してしまいます。そのため、スキンケアでの感染予防は、患者さんにとって欠かすことのできない重要なケアになります。

圧迫療法は、基本的には弾性ストッキングやグローブなどを着用したり、弾性包帯を巻いたりして行います。この療法はかなり難易度の高い療法で、患者さんのむくみの状態を観察しながら、その変化に合わせた対応が必要になります。たとえば、弾性着衣が食い込まないように注意することなども大切なチェックポイントになります。

運動療法は、患部を圧迫しながら運動をしていく方法です。運動によっては、患者さんの負担になってしまうこともあるので、様子を見ながら、無理のないアドバイスをしていきます。なるべく、患者さんが毎日の習慣にできるようなレベルの運動を継続させるようにします。

このように、仕事の内容は多岐にわたり、複雑で、柔軟性を求められるものでもあります。多くの診療科を訪れなくても、一人の専門家に複合的な治療やアドバイスをしてもらえるのは、患者さんにとって、本当に安心できることだと思います。

 

資格取得の条件と活躍の状況とは

資格取得には、医師や看護師、または理学療法士や作業療法士、さらにマッサージ指圧師などの資格をすでに持っていることが条件となります。資格認定には協会が行う講習会の受講が必要で、解剖理論やリンパドレナージの基礎手法、バンテージの基礎などを学びます。その後、応用的知識を学び、最終的には上級講習会を終了した時点で認定証の発行となります。看護師のキャリアアップとしても有効な資格となっています。

認定資格を取得した後は、全国の医療機関でリンパ浮腫外来での治療を担当しており、中でも、あんまマッサージ指圧師には独立開業することが許可されています。場合によっては、在宅医療にも積極的にかかわり、適切に治療することも可能です。この病で苦労している患者さんにとっては、まさに有難い存在であるといえるでしょう。

 

リンパ浮腫セラピストは、患者さんの立場に立って、複合的理学療法や生活指導を行うスペジャリストです。資格取得には事前の条件もあり、講習や試験を受けて認定されます。認定後は、各医療機関で、患者さんの健康管理や症状の改善を目的に活躍しています